<振り返り>演奏会〔2〕「アジアのヴィルトゥオーソ ~ 達人たちの響演」

5月5日(祝・土)に、演奏会〔2〕「アジアのヴィルトゥオーソ ~ 達人たちの響演」が行われました。

演奏の格別な技巧や能力によって達人の域に達した、超一流の演奏家を意味する、“ヴィルトゥオーソ”。世界で活躍するアジアのヴィルトゥオーソたちによるコンサートをお送りしました。

出演者は台湾出身のヴァイオリニストであるチョーリャン・リン、その弟子であり国際的な音楽祭に数多く出演している諏訪内晶子、ヴィオリストの川崎雅夫と鈴木康浩、チェリストの富岡廉太郎と古川展生、そして宮崎国際音楽祭弦楽合奏団と、豪華な顔ぶれ。

○リハーサル中のチョーリャン・リンさんと諏訪内さん

○笑顔の一コマも


○本番直前の練習

いよいよ本番。

まず始めにお送りしたのはブラームスの「弦楽六重奏 第2番 ト長調 作品36」。ブラームスが残した2曲の弦楽六重奏曲のうちのひとつであり、「アガーテ六重奏曲」の愛称を持つ本曲。どこか憂いを帯びた6挺の弦楽器のたおやかな音色に、チョーリャン・リンと諏訪内晶子さんによる2挺のヴァイオリンが奏でるきらめくような輝かしい音色が印象的な演奏でした。

休憩をはさんで、2曲目はヴィヴァルディ「2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 作品3-8 RV522」、そして3曲目はJ.S.バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043」が演奏されました。バロック時代を代表する2人の作曲家によるこれらの協奏曲では、チェンバロを含む宮崎国際音楽祭弦楽合奏団が登場。弦楽合奏団の勢いのある冒頭にはじまり、チョーリャン・リンと諏訪内さんの複雑に絡み合う2つのヴァイオリンの生き生きとした音色がコンサートホールに響き渡ります。第2楽章のゆったりとした繊細な二重奏では、ホール全体が息を凝らして演奏に聴き入っているようでした。

最後のプログラムは、サラサーテの「ナヴァラ 作品33(弦楽合奏版)」。自身もスター・ヴァイオリニストだったサラサーテが書いた本曲は、ハイポジションが多用されるなど超絶技巧が随所に盛り込まれた難曲。チョーリャン・リンの繊細で美しい音色と諏訪内さんの豊かで華やかな音色が、ときに優雅に、ときに軽やかに奏でられ、師弟による息の合った見事な演奏が観客を圧倒しました。

アンコールは、チョーリャン・リンと諏訪内さんが2曲を演奏。色気たっぷりのタンゴの代表曲、ヘラルド・マトス・ロドリゲス「ラ・クンパルシータ」で客席を魅了したかと思えば、弦を弾いて音を出す“ピッツィカート”という奏法だけで演奏されるバルトークの「44の二重奏曲 BB104よりNo.43 "ピッツィカート"」という珍しい選曲も。メインのプログラムとはうってかわって、どこかお茶目で可愛らしい雰囲気も感じられるお二人の演奏に、客席からは思わず笑いが起こる場面もありました。

最後に、お客様の感想をご紹介!

次ある公演でも、J.S.バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲を弾いてほしいです。今回の公演で演奏された中で一番心に残りました。
J.S.バッハすばらしかった!今まで聴いた中で一番良かった、あー幸せです、ありがとう☆
ソロの2人の息、オケとの息が合っていて、とても良かった。
ブラームス六重奏は、閲覧室にあったレコードを見て好きになった曲だったので、生演奏が聴けて、とても感動しました。
演者同士のコミュニケーションとお互いに敬意を持って演奏される様子に、これでこの素晴らしい演奏になるのだなと思いました。
サラサーテはにぎやかなお祭りのような音楽祭にふさわしい曲かもしれません。超絶技巧も聴きごたえがありました。
ナヴァラはまさにヴィルトゥオーソの技を堪能させて頂きました。素晴らしい演奏でした。
チョーリャン・リンさんの表情・音色・ひびき何もかもすばらしく、ゴールデンウィーク一番のいい一時でした。
ヴァイオリン協奏にふさわしい2人の音色にドキドキさせられつづけました。

『ぷれぽ』

「プレビュー」&「レポート」 Text:文章、Photo:写真、Movie:動画で、宮崎国際音楽祭の魅力をお届けします。