<振り返り> シリーズ「ポップス・オーケストラ in みやざき」
昨年大反響をいただいた「ポップス・オーケストラinみやざき」! 宮崎国際音楽祭管弦楽団が、「ポップス・オーケストラ」として登場し、宮川彬良さんの想像力豊かなアッと驚くアレンジや楽しいトーク&パフォーマンスとともに、さまざまなジャンルの音楽をお届けします。
↓↓↓昨年の「ポップス・オーケストラ in みやざき」の様子
◆リハーサル
リハーサルでは、楽曲のイメージや細かな響きのニュアンスなどを、丁寧に伝えていく宮川さん。それを受けてオーケストラの皆さんも、作曲された宮川さんが思い描く音楽に近づけようと真剣そのものです。
初出演した昨年、宮川さんは、このオーケストラの豊かな音色を聴いて「本物の音に出会った!」と、カルチャーショックを受けたそうで、今回のプログラムには、「このオーケストラだからこそ、ぜひ演奏してもらいたい」という楽曲を選曲されています。オーケストラメンバーも心を開放して、宮川さんの奇想天外な演出や楽曲を楽しんでいるようでした。
音楽を聴かせるだけでなく、楽しませる仕掛けがたくさん散りばめられた「ポップス・オーケストラ」♪ 宮川さんは指揮だけでなく、トーク、ピアノ、お芝居と、一人で何役もこなします。オーケストラとのリハーサルが終わると、照明や小道具のタイミングなど演出部分の打ち合わせが行われました。お客様の想像力をかきたてる演出にも期待が高まります♪
◆本番
コンサートは、宮川さんが、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をアレンジした「アイネ・クライネ・タンゴ・ムジーク」からスタート! 誰もが一度は聴いたことのあるこの名曲の中に、“タンゴ”のフレーズがあったのか!?と、新鮮な驚きとともに、華やかなオープニングとなりました。
1曲目が終わると、「どうです? みなさん、このオーケストラの音♪」と、宮川さんから客席に呼びかける場面も!
宮川さんも絶賛する“宮崎国際音楽祭管弦楽団”の演奏でお届けする次の曲は、映画「燃えよドラゴン」のテーマ曲です。曲中に出てくるブルース・リーの叫び「アチョーーッ」の部分は、チェロが担当します! チェロで奏でる「アチョーーッ」に、客席からは大きな拍手が沸き起こっていました。さらには、宮川さんが客席を振り向き、ヌンチャクを振りまわすパフォーマンスもあり、大いに盛り上がりました。
次に演奏するのは、歌謡曲♪ 上田正樹さんのヒット曲『悲しい色やね』です。演奏後には、宮川さんがピアノでこの曲のメロディーを弾きながら、「この展開がたまらなくいい!」とこの曲の素晴らしさを客席に向かって熱弁されていました。
そして、4曲目は「さよならをもう一度」。この曲は、宮川さんが大好きな作曲家・ブラームスの「交響曲第3番」の第3楽章をアレンジしたもので、映画「さよならをもう一度」で使用されています。ピアノとオーケストラ用にアレンジされ、甘美で哀愁漂うメロディーが、宮川さんの弾き振りで会場に響きました。
続いて演奏されたのは、マンシーニの「子象の後進」。ここで大活躍するのが、パーカッションの大御所・百瀬和紀さんと、同じくパーカッションの山下雅雄さんによる『ボトラーズ』(宮川さんが命名)!奏でる楽器は、本職の打楽器ではなく、コーラ瓶(中身はアイスコーヒー)です! 瓶に口をつけて吹くだけの楽器ですが、中の液体の量を調整すると音程も調整できます。飲みながらチューニングする姿が面白く、笑いを誘っていました。巧みにコーラ瓶を持ちかえながら、なんとも言えないちょっと間の抜けた音をノリノリで演奏する「ボトラーズ」♪ 最高です!
前半のラストには、1960年に大ヒットした名作映画『荒野の七人』!雄大な西部劇にぴったりのこの曲を、オーケストラサウンドでお楽しみいただきました。
休憩をはさんで、後半のトップは「ソドレミ・メドレー」♪ “ソドレミ”で始まる曲をワンフレーズずつメドレーで紹介していくもので、フリップをめくりながら「赤とんぼ」や「千の風になって」、「ドラゴンクエスト」などが演奏されると、この曲もそうだったんだぁ…と、驚きの連続! そしてこの曲も!昔懐かしい「松竹梅」のCMソングの演奏にあわせ、宮川さんが「よろこび~の酒(さ~け~)」と歌うと、「松竹梅(しょ~ち~くばい)」と続いて歌うオーケストラメンバー。思いもよらない楽しい展開に、またまた笑いが起きていました。
続いて演奏されたのは、宮川彬良さんが作曲されたこの2曲。
まずは、代表曲「風のオリヴァストロ」を宮川さんのピアノとオーケストラでたっぷりと歌い上げると、次は、オーケストラを森に見立てて、物語仕立てで楽器を紹介しながら演奏した「オーケストラの森」! 暗転すると、突然会場に雷鳴を伴う激しい嵐の音が響きわたります。 嵐が静まると、「いやぁ~すごい嵐でしたね~。大きな木が雷に打たれて倒れてしまいました」と、いつの間にか着替えて客席から登場する宮川さん。
森の管理人という設定で話しはじめると、森の主役たちを楽器の音色とともに紹介していきます。フルートという名の“小動物”、クラリネット・オーボエは“鳥たち”、ファゴットは水辺の動物、弦楽器は大きな大木というように、森の生き物や自然に例えて楽しく紹介し、各楽器が活躍する「オーケストラの森」をじっくりと聴いていただきました。
親子連れのお客様も多かった、本公演! ラストは、親子で楽しめるディズニー音楽から、シンフォニック「白雪姫」の演奏をお届けしました。演奏が終わると、立ちあがって拍手をされるお客様も!
アンコールは、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が「マンボ」する!? 究極のアレンジが楽しめる「シンフォニック!マンボ №5『運命』」と、曲の合間に手拍子が入る「運がよけりゃ」の2曲!会場一体が盛り上がったまま終演となりました。
今年も、「ポップス・オーケストラ」の極上サウンドで、クラシックから歌謡曲、ディズニーまで、宮川さんの遊び心たっぷりに、お届けしました。
終演後、熊本からお越しの上田さん家族に感想をお聞きしました。
お母様の乃梨子さんは
「熊本の震災直後に、徳永二男さんが避難所になっていた体育館に来られてヴァイオリンを演奏されたでしょ。実は、聴きに行っていたんです。あの時は、ただただ演奏が聴けて嬉しかったのを覚えています。ずっと前から、宮崎国際音楽祭のことは知っていて、いつか行きたいと思っていたのでうれしいです」と、話されました。
宮川さんが出演されていたNHKの音楽教養番組『クインテット』を見ていたという、小学6年生の絋太朗さんは
「宮川さんは笑いをとるのが上手だなと思いました。アンコールの『シンフォニック!マンボ№5』が一番好き。オーケストラも楽しそうに演奏していた」
と、コンサートの楽しい雰囲気も味わってもらえたようです。続けて、「ソドレミ・メドレーと瓶笛も面白かった」と話すと、「学校の給食で出てくる牛乳が紙パックじゃなくて、瓶だったら瓶笛を真似したいって言ってた」とお母様が教えてくれました。
「この音楽祭は、いろんな公演があっていいですね。他のプログラムも聴いてみたいです」とお父様。アイザックスターンホールの入口で記念撮影し、にこやかに劇場を後にされました。
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